こんにちは。今日は日野瑛太郎さんの「フェイク・マッスル」という作品の紹介です。
2024年8⽉21⽇に発売された作品で、第70回江戸川乱歩賞受賞作です。
あらすじ
たった3ヵ月のトレーニング期間で、人気アイドル大峰颯太がボディービル大会の上位入賞を果たした。SNS上ではドーピングを指摘する声が上がるが、大峰は疑惑を完全否定し「会いに行けるパーソナルジム」をオープンさせるのだった。
『週刊鶏鳴』新人記者・松村健太郎は、この疑惑についての潜入取材を命じられ、ジムへ入会する。
フェイクが氾濫する時代の、「真実の物語」が始まった。
感想
タイトルに惹かれて読み始めましたが、中身はどんでん返し系のミステリーで面白かったです。
フェイク・マッスル作中でも登場する、三島由紀夫さんの「若きサムライのために」に出てくる一節
「精神の存在証明のためには、行為が要り、行為のためには肉体が要る。かるがゆえに、肉体を鍛えなければならない、というのが、私の基本的考えである」
この言葉が印象的でした。
新人記者の松村は文芸編集者を志望して入社したのに週刊誌の部署に配属されてしまい、仕事への熱意は当然なく、周囲からも無能扱いされていました。しかし筋トレをして肉体が充実していくにつれて、仕事への姿勢も変わっていくところにこの言葉が示されていて、私も無性に筋トレがしたくなりました。
また本作は、松村が行動していく描写がとても詳細です。具体例としては、大峰がステロイドを使っていることを証明するために、「大峰の尿を入手しろ」と上司から無茶な命令を受けます。大峰の尿を入手するために、松村はトイレの取材と称して、トイレの展示場に行き、技術者から小便器用トイレの下水に繋がる部分の構造についてや、部品の作りを教えてもらいます。そしてその部品を改造することで尿を取る作戦を思いつき、町工場にコンタクトを取って部品を改造してもらいます。
こういった一つ一つの行動が詳しく描写されているので、場面が想像しやすく、とても読みやすいです。実際、私は3時間くらいで読み終えてしまいました。
私も松村のように肉体を鍛えて、充実した生活を送りたいと思います。
まとめ
とても読みやすく、伏線回収も綺麗で読後感も良いので、普段本をあまり読まない方にもお勧めできる作品でした。
私もボディービルダーを目指しているわけではないですが、定期的に筋トレをしているので、普通に参考になりました。おもしろいだけでなく、筋トレのモチベーションを上げてくれる本でもあるので、本をあまり読まないトレーニーの方に勧めたいと思います。
以上、日野瑛太郎さん「フェイク・マッスル」でした。
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