こんにちは。今日は最近読んだ本の紹介で、朝井リョウさんの「生欲」という作品です。
2021年3月26日に発刊された作品で、第34回柴田錬三郎賞受賞、第3回読者による文学賞受賞、2022年本屋大賞ノミネートなど、受賞されています。
朝井リョウさんのデビュー10周年記念作品として書き下ろされた作品だそうです。
2023年11月10日には稲垣吾郎さん、新垣結衣さん主演で映画化もされています。
あらすじ
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
感想
読み始めた時と、読み終えた時で、目線が180度変わっていました。
最初に「生欲」を読み始めたときは、小児性愛者や凶悪犯のような「社会のバグには線を引くべき」という考えに共感していましたが、読み終える頃にはそう主張する人物に苛立ちを感じるようになっていて自身の変化に驚きました。
本作では「多様性」が一つのテーマになっています。
世間でよく言う「多様性」とは、LGBTQや人種などを指すことが多いですが、所詮それはマイノリティの中のマジョリティと作中で指摘されており、今までの私にはない考え方でした。
特に作中で、多様性について理解を示そうとしている人間に対して、
「自分はあくまで理解する側だって思ってる奴らが一番嫌いだ」
と発言するシーンでは、私自身に言われているような気がしてドキッとしました。
マジョリティの中でさらにマジョリティにいることは、それはもう立派なマイノリティであるのに、「自分はマジョリティのはず」と確認し合いたくてマイノリティを探しては糾弾するという記載もあり、もう何がマジョリティで何がマイノリティなのかわからなくなりました。
それこそが多様性の本質で、実は世の中にはマジョリティもマイノリティもないのかもしれないと思いましたが、だからと言って「社会のバグ」=「小児性愛者や凶悪犯」などに対して線を引かずに野放しにするのはまずいという思いもあります。
結局「多様性とは何なのか、何をもってマジョリティ、マイノリティなのか」考え続けることが大事という、月並みで安っぽくてありきたりな結論しか私には出せませんでした。
ぜひ皆様の結論、感想も聞かせていただけると幸いです。
まとめ
朝井リョウさんの作品は「時をかけるゆとり」しか読んだことがなく、勝手にギャグ系の作家さんだと思い込んでいたので、「生欲」を読んで大変驚きました。
「桐島、部活やめるってよ」も朝井リョウさんの作品だよ
どこでこんなテーマを思いついて「生欲」を書いたのか、朝井リョウという作家に俄然興味が湧いてきました。他の作品も読んでみたいと思います。
以上、朝井リョウさんの「生欲」でした。
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