道尾秀介「シャドウ」:少年の成長と不穏な伏線回収

最近読んだ本

こんにちは。今日は本の紹介です。

私の好きな作家さんの道尾秀介さんの「シャドウ」という作品です。

2009年8月14日に発刊された小説作品で、

  • 「このミステリーがすごい!2007年」第3位
  • 「本格ミステリベスト10 2007年」第6位
  • 「週刊文春ミステリーベスト10 2007年」第10位
  • 「第7回本格ミステリ大賞」受賞

ミステリーの賞をいろいろと受賞されています。

あらすじ

父とのささやかな幸せを願う小学校五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? 今最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作、待望の文庫化! 第七回本格ミステリ大賞受賞作。

引用:https://amzn.asia/d/eJC3AnG

感想

道尾秀介さんと言えばどんでん返しで有名な作家さんです。

今回のシャドウ以外にも、これまでに道尾秀介さんの小説はある程度読んだ経験があるので、どうせ今回も罠が仕掛けられているはずと、騙されないように警戒しながら読んでいたのですが、やっぱり騙されてしまいました。

道尾秀介さんの作品はそこそこ読んでいる私ですが、「シャドウ」は他の作品と比べてものすごく不穏だなと感じました。

伏線らしきものがそこかしこに散りばめられており、どれがどんな形で回収されるのか読めません。「この伏線っぽい情報が、もしもこんな形で回収されるとしたらとんでもない鬱展開だな、、」と先を想像するのが怖くなるような伏線が次々に飛び出してくるので、非常に不穏です。

不穏な気配を出すだけ出しておいて実はなんでもなかったり、想像以上の形で回収されたりして、先が読めなくて面白かったです。

ネタバレになるのでそれ以上は書きませんが、ぜひ皆さんもこの不穏な雰囲気にドキドキしながら読んでほしいです。ひやひやします。

また話は変わりますが、本作では精神病が一つのテーマになっており、精神科医の大人たちがたくさん登場します。

私は薬剤師の免許を取得しているので、精神病の症状や、その治療薬や副作用、、不眠の薬についてなど、なじみのある話題も多くあったので、その点も興味を持って読めました。

精神科の患者は同じ病名でも症状は個人個人で大きく違い、健常人には想像もできないような症状がたくさんあることは、大学時代に学んでいますが、本作でもやばい症状が登場しているので、シンプルに勉強になります。

専門の医師でもわからないことの方が多い精神科の分野で、それをテーマにしたミステリーを一作書いてしまうんだから、作家さんの取材力と、話をまとめる力にはただただ敬服するばかりです。

まとめ

不穏で不安でドキドキしながら、あっという間に読み終えてしまう作品でした。

凰介くんの成長と、不穏な伏線の回収に注目して、ぜひネタバレなしで読んでほしいと思います。

以上、道尾秀介さんの「シャドウ」でした。

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