「52ヘルツのクジラたち」あらすじと感想|孤独と希望が交差する物語

最近読んだ本

最近読んだ本の紹介です。

町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」という作品です。

2021年本屋大賞受賞作で、2024年3月1日には映画も公開されました。

あらすじ

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。 

引用:https://amzn.asia/d/avWyJy9

感想

ものすごく重いですが、いい話でした。

「52ヘルツのクジラ」は世界で一頭だけ実在しており、最も孤独なクジラとも言われるそうです。通常クジラは10~39ヘルツの周波数で鳴く中、52ヘルツのクジラは52ヘルツで鳴くため、他のクジラたちにはその声は高すぎて聞こえないんだそう。

そんな「52ヘルツのクジラ」に、本作では主人公の貴瑚などの孤独を感じる人たちを例えています。

お母さんが大好きで、愛されたいと思うけど、義父に虐待され、お母さんには無視され、お母さんと義父との間に生まれた弟ばかりが可愛がられて、すぐ近くに温かい家族像があるのに自分はそこに入れてもらえないという、貴瑚の回想のシーンは読んでいて本当につらかったです。

すぐ近くに群れがいるのに、52ヘルツの声は誰にも届きません。

本作はすごく重くてつらい話ですが、暗い闇の中にも光はあることを感じさせてくれる作品でもあります。

貴瑚を救ってくれたアンさんや親友の美晴、近所に住む虐待を受けている少年の52など、貴瑚を支えてくれる人、お互いに支え合える人と出会えます。

中でも「魂の番」という考え方は胸が温かくなります。ぜひ最後まで読んでほしい。

まとめ

「52ヘルツのクジラたち」を読んで、自分がこれまでどれだけ恵まれた環境で育ってきたかを実感させられました。

ちょうど3日前まで朝井リョウさんの「生欲」を読んでいたこともあるので、自分が日本で、男で、五体満足な異性愛者に生まれたこと、親から愛されて育ったこと、周囲の人々に恵まれてきたことに感謝の気持ちを持って、生きていきたいと思いました。

辛い描写もありますが、希望も感じられる素敵な作品です。

以上、町田そのこさんで「52ヘルツのクジラたち」でした。

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