こんにちは。今日は最近読んだ本の紹介です。
YouTubeチャンネル「ほんタメ」でヨビノリたくみさんが紹介していた作品。
ずっと図書館で予約していたのですが、ようやく順番が来て読めました。
- 『このミステリーがすごい! 2022年版』(宝島社)国内編 8位
- 週刊文春ミステリーベスト 10(週刊文春 2021年 12月 9日号)国内部門 6位
- 「ミステリが読みたい! 2022年版」(ハヤカワミステリマガジン 2022年 1月号)国内篇 8位
- 『2022本格ミステリ・ベスト10』(原書房)国内ランキング 4位
来月、実写映画が公開されるようです。
あらすじ
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
感想
ネタばれになってしまうのであまり詳しくは書けませんが、どんでん返しがあってとても面白い作品でした。
自分が見ている物事はあくまでその一面だけであり、その裏や側面には全く違う一面があることを思い知らされます。
私が本作で一番素晴らしいと感じたのは、話の構成がとにかく巧みであることです。著者の浅倉秋成さんは「伏線の狙撃手」という異名を持つらしく、伏線回収が本当に見事でした。
有能で頼れるいい仲間たちだと思っていた登場人物たちが、話が進むにつれて見方が二転三転していきます。
ぜひネタバレを見ずに読んでほしいです。
また日本の就活のあり方についての風刺も効いており、これも面白いです。
採用側の目線と、就活生側の目線の両方が書かれており、就活の現実が垣間見えます。
就活生特有の、自分のことも社会のこともよくわかっていないのに、なんとなく意識が高くなってしまう現象も書かれており、自分の就活生時代を思い出して恥ずかしくなります。なんなら社会人になった今でも自分のことも社会のこともよくわかっていません。きっとみんなそんなもんなんでしょう。
将来、子供が生まれて就活をする時期になったら勧めてみたいと思います。
まとめ
どんでん返しがあってとても面白い作品でした。
わかりやすい言葉で書かれており、とても読みやすかったです。
例えば、デスゲームが進んで登場人物たちの嫌な面が見えてくるにつれて、
精鋭の中から最も秀でた一人を選ぶはずだった会議は、いつからか、誰がこの室内で最もマシかを選ぶババ抜きの様相を呈し始める。 (本文より)
と表現されていて、いいセンスだなと思いました。
浅倉秋成さんは初めて読む作家さんでしたが、とても面白かったので、YouTubeチャンネル「ほんタメ」でヨビノリたくみさんが紹介していた「俺ではない炎上」も読んでみたいと思います。
以上、「六人の噓つきな大学生」でした。
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