こんにちは。今日は最近読んだ本の紹介です。
将棋のプロ棋士の先崎学先生の「うつ病九段」という本です。
あらすじ
〈このたび、先崎学九段(47歳)が一身上の都合により
2017年9月1日~2018年3月31日まで休場することになりました。〉2017年8月10日、日本将棋連盟のホームページにこんな告知が掲載されました。
折しも藤井聡太四段がデビュー29連勝を成し遂げたばかり。
空前の将棋ブームが到来していた最中に、羽生世代のひとりとして
将棋界を牽引してきた先崎学九段が突然の休場を発表したのです。詳しい理由が説明されなかったため様々な憶測がかわされましたが、
先崎九段は実はうつ病とたたかっていたのです。
本書は、エッセイの書き手としても知られる著者が
自らの病の発症から回復までを綴る、心揺さぶられる手記です。
感想
うつ病のつらさがリアルに伝わってくる本でした。
私は仕事柄、うつ病患者ではセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足しているなどの理論の部分は理解していますが、うつ病患者が実際どんな感覚なのかなど、リアルの部分がまるでわかっていなかったと感じました。
中でも衝撃的だったのは、あの先崎先生が七手詰めの詰将棋が解けなかったことでした。
あらゆることをマイナスに捉えてしまう、自殺にハードルを感じなくなるなど、精神的な症状は想像できますが、そこまで脳の機能が低下するとは思っていませんでした。
私は所謂「観る将」ですが、プロ棋士のすごさは分かっているつもりです。鬼の住処と言われる奨励会を突破したスーパーエリートであるプロ棋士たちの中で、さらに最高段位である九段にまで上り詰めた先崎先生からしてみれば、七手詰めなんて朝飯前の準備体操にもならないはずです。
先崎先生のお兄さんで、精神科医でもある方が「うつ病は心の病気と言われているが、完全に脳の病気」と言うシーンがありますが、本当にその通りなんだといいうことがよくわかるエピソードでした。
また、これは私の体感ですが、本書の前半は句読点が多く、一文一文が短く端的に書かれている印象でしたが、後半はあまりそれを感じませんでした。
これは先崎先生が本書を書き始めた時期の問題で、その頃は「うつの波こそまあまあ収まっていたものの、まだ不安定さが残る状態だった。」と本書中に記載がありました。長い文章を組み立てる能力がまだ戻っていなかったために、一文一文を短く書いていたようです。
これも「うつ病は脳の病気」ということが感じられます。
まとめ
身近にうつ病と診断された方がいる方、うつ病の方と接する機会がある方などは一度読んでおくべき本だと思います。
「うつ病のつらさはその人にしかわからない。」と作中でも言っているので、「この本を読めばうつ病のつらさがわかる。」とは言いませんが、雰囲気を感じることはできます。
今後、うつの方と接する機会が訪れたら、短い断定口調で話し、「あなたは必要とされている人間なんだ」と伝え、散歩するように伝えたいと思います。
以上、「うつ病九段」でした。
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ないす